写真集展「The Photobook」

　写真作品を扱う国内のコマーシャルギャラリーが一堂に会するフェアに合わせて催された展示会。写真集蒐集家の金子隆一氏のコレクションを中心に日本の写真集史を一望できる展示となっている。

　写真集は、写真作品と違い、出版された時代の印刷技術と重ね合わされることで生まれる芸術作品である。展示される貴重な写真集をそういった視点からより直接的に観察でき、また３日間という短期間の展示で、短工期、限定的なコストをクリアするため、ワイヤーで吊られた一見して不安定な展示台を提案した。 　不安定な印象が観るものに緊張感を与え、それが作品にとってのバリアとなり、一般的なアクリルケースの必要性を無くす。より直接的な鑑賞が可能になり、来場者が所持者に近い感覚で作品を体感することができる。 　また、ワイヤーで吊る構造は什器製作コストを抑えつつ展示高さ設定を自由にし、展示物それぞれの特性に合わせた展示を容易に実現できた。