山口ゆめ花博 メインゲート

Main Gate, Yamaguchi Yume Flower Expo

Yamaguchi, Japan
Completed in 2018
Collaboration : 繁永政志都市建築計画事務所  藤匠住宅
Structure Engineer : TECTONICA INC.
Photo Credit : ©Shigeo Ogawa

Publications
architecturephoto.net

 敷地は17年前に博覧会が開催され、会期後、都市公園として整備された「きらら博記念公園」である。芝生の広がる広大な公園ではあるが、普段は子連れをちらほらと見かける程度でやや閑散とした印象だった。こうした公共施設として整備された公園は、今まで公共性を重視するあまり、特徴が少ないものに感じられてしまうことが多い。今回のイベントは都市緑化フェアの一端であり、市民への緑化啓蒙が一義にあるが、山口ゆめ花博と銘打ち、参加型イベントを通して、地域の人が集まり、過ごし、楽しむことで、公園の新しい利用を実現することをもう一つのテーマとしている。
 それを踏まえ私たちは、日常的な公園を、特別感を持って向かう場所として感じられる境界のデザインを探った。

 こうしたイベントのゲートは、ときにハリボテで作られるように、薄い面状のものが一般的ではあるが、ここでは通り抜ける動作の中で日常とは異なる場所へ向かう感覚を得るため、境界を緩やかな円弧状に折り曲げ、境界自体で一定の空間を作ることを考えた。ゲートは輪っか状になった境界の一部を少し持ち上げることでできている。来場者は隣の家の生垣に空いた穴をくぐり抜けるように、この境界をくぐり抜ける。あるいは鳥居や躙口と似て、私たちは「くぐる」という動作でこちらとあちらが少し違うということを感じることができると考えた。その体験は一瞬のものではなく、倒れた輪っか状の形が引き伸ばされたトランジションを演出し、その体験効果を強調している。

 境界線はそれ自体の存在感を落とし、体験自体を強調するために、極限まで薄い境界線を目指した。200mmのH鋼の上下弦材と鋼管を梯子状に組み、そこに輸送用パレットを上から順繰り差し込む、構造と装飾とが一体となった架構システムとした。この架構システムは約16mのスパンを飛ぶゲート部分においては、そのままフィーレンデール梁として作用する。パレットは特別な加工が必要ないため、県下の業者より借り受け、解体後そのまま返却、再利用される。

 円弧状に折れ曲がった境界は、そのまま緩やかに蛇行し、全体が屏風立ちすることで、全体の形状自体が風圧に抵抗し、仮設物にとって大きなコストウェイトとなる埋設基礎の省略を実現した。